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事業報告

平成29年度事業報告

 第52期(自 平成29年4月1日~至 平成30年3月31日)の決算にあたり、当社団の事業概況についてご報告申し上げます。

 平成29年10月に行われた総選挙では、北朝鮮問題、日本社会の人口減少、少子高齢化問題、さらに2019年消費税10%引き上げに際して大部分を国の借金返済から教育(無償化)に充てることを争点として与党は選挙戦を闘いましたが、選挙戦に突入するとほとんどこれらの議論は行われませんでした。一方、野党第一党の民進党は小池東京都知事率いる希望の党と立憲民主党、無所属とに分かれて闘わざるをえなくなりました。結果、自民党は284議席を獲得し単独で過半数を大きく上回り、野党は立憲民主党が公示前から3倍の勢力に躍進しました。
 政府が推進している地方創生事業は、人口減少問題について国民意識の共有化を図り、人口減少の歯止めと地域経済縮小の克服をめざし、東京一極集中の是正を行い、地方の復興を図り、若い世代の人達が安心して就労、結婚、子育てができる地域社会を実現することを目的としたものです。そのために、各自治体は「まち・ひと・しごと創生」として「人口の長期ビジョンと総合戦略」を策定し、地方創生に取り組んでいます。
 郵政民営化法等改正法により、ユニバーサルサービスは日本郵政(株)及び日本郵便(株)に義務付けられ全国の郵便局窓口で提供されています。しかし、ユニバーサルサービスを提供し続けるのにはコストの問題を誰がどのような形で負担をしていくのかという大きな課題が存在しております。現在、自民党の郵政事業に関する特命委員会が中心となって、金融2社が日本郵便㈱に業務委託手数料に係る消費税の減免措置の代わりに負担金・交付金制度を議員立法として提出する動きがあります。これは、業務委託手数料のうち、郵便局の局舎使用料や人件費といった固定的なものに限り消費税が発生しないというものです。
 ユニバーサルサービスのコスト負担の問題は、将来的には国民全体として捉えていく必要があります。ユニバーサルサービスが課され、日本全国にきめ細かなネットワークを持って、公共サービスを行っているのは郵便局だけです。
 郵便局を通信、物流、金融の拠点、さらに社会資本として行政と生活の代行機能を併せ持つことができれば、日本郵政グループの企業価値も向上するものと思われます。
 平成29年9月に政府保有の日本郵政㈱の株式の第2次売却が行われました。
 市中売却分は9億9.009万株で売却収入は1兆3.089億円、日本郵 政㈱の自社株買いに応じた分7.247万株、売却収入は995億円、売却収入合計は1兆4.084億円、売却割合は合計23.6%になります。第1次売却から第2次売却まで合わせると売却収入は2兆8.315億円、売却割合は43.1%で19億4.047万株を売却したことになります。
 郵政民営化法は日本郵政グループ各社とのシナジー効果を最大限活かし、効率的なグループ運営を発揮することを目指したものと受け取られています。
 今後、外部株主の増加により株主利益の最大化と効率化・合理化、改正法の趣旨である地域性及び公共性をどのように維持していくことができるのか、ますますバランスのとれた経営が求められてきます。
 会員のニーズに応えるべく、機関誌『逓信 耀』の誌面をより一層充実させるため、毎月企画編集会議を開催し、焦点を明確にして全国各地に取材を行いました。
 編集方針については、国内外の政治・経済問題の専門家を中心に執筆いただき、さらに、日本郵政グループ各社の経営戦略を紹介し、郵政民営化法等改正法によって郵便局ネットワークの維持・活用、公益性及び地域性が求められる郵政事業と、国会議員、有識者の先生方等によりさまざまな角度での検証を行い、その問題点と課題を浮き彫りにした。また、新シリーズ「地方創生のいま、地域を元気に!」では12名の有識者の方々に取材を通して地方創生における郵便局の役割等を紹介することが出来ました。さらに「地方創生における地方自治と郵政事業」というテーマで12人の県知事、市町村長から郵政事業と地方自治体との関係、郵便局が地域社会に果たしてきた役割、連携施策等について意見を伺うことが出来ました。全国の郵便局長にご協力いただき、インタビューや各種座談会等を通じて、地域社会に貢献する郵便局の実像や今後の展望等について掲載することができました。
 公益目的事業として行った「日本郵政の経営分析と企業価値評価(2018年)」(京都大学経済学部藤井秀樹ゼミナール 日本郵政企業分析チーム)、「海外における郵便サービス品質の現状と離島の郵便マネジメントに関する研究」(作新学院大学経営学部武井孝介准教授他)等の報告会を開催することができ、いずれも時宜を得た大変有意義な報告会で、資料を関係機関に配布致しました。また全国各地に講師派遣等を行い会員のニーズに応えることができました。

《理事会開催》
 ○ 第1回
     平成29年4月27日(木)ホテル・ルポール麹町
  ・平成28年度事業報告及び収支決算報告について
  ・公益目的支出計画報告について
  ・平成29年度総会日程について
 ○ 第2回
     平成29年5月23日(火)ホテル・ルポール麹町
  ・当面の諸課題について
  ・理事選任について
 ○ 第3回
     平成29年8月29日(火)ホテル・ルポール麹町
  ・第1四半期事業報告及び収支決算報告について
 ○ 第4回
     平成29年11月21日(火)ホテル・ルポール麹町
  ・平成29年11月21日(火)ホテル・ルポール麹町事業報告及び収支決算報告について
 ○ 第5回
     平成30年3月16日(金)ホテル・ルポール麹町
  ・平成30年度事業計画及び収支予算について

《総会開催》
 ○平成29年5月23日(木)ホテル・ルポール麹町 正午
  ・平成28年度事業報告及び決算報告、公益目的支出計画等について
 ○平成30年3月16日(金)ホテル・ルポール麹町 正午
  ・平成30年度事業計画及び収支予算案について

《報告会開催》
 ○ 平成30年3月16日(金)ホテル・ルポール麹町
  ・日本郵政の経営分析と企業価値創造〔2018年〕
   価値創造にむけた新規事業のゆくえ
     郵政事業企業分析チーム
     京都大学大学院経済学研究科教授 藤井秀樹先生他学生4名
     立命館大学大学院    教授  奥村陽一先生
     日本経済大学      准教授 渡邉誠士先生
  ○ 平成30年3月22日(木)ホテル・ルポール麹町
  ・海外における郵便サービス品質の現状と離島の郵便マネジメントに関する研究〕
     作新学院大学 郵政事業戦略研究プロジェクトチーム
     経営学部        教授  武井孝介先生
     同           教授  樋口 徹先生
     同           教授  荒木 宏先生
     人間文化学部      教授  高柳秀史先生

《調査・研究会》
・日本郵政の経営分析と企業価値評価〔2018年〕
    日本郵政企業分析チーム
    京都大学大学院経済学研究科教授 藤井秀樹先生他
・海外における郵便サービス品質の現状と離島の郵便マネジメントに関する研究
    作新学院大学経営学部 准教授 武井孝介先生他

《資料集作成》
・日本郵政の経営分析と企業価値評価〔2018年〕
・海外における郵便サービス品質の現状と離島の郵便マネジメントに関する研究

≪寄付・寄贈≫  公益財団法人 通信文化協会