通信研究会

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事業計画

平成26年度事業計画

 今期は、前期に引き続き郵政事業及び電気通信、放送の分野におけるさまざまな施策、情報等について広く国民を啓蒙していきたい。

 平成24年12月に行われた第46回総選挙において、自由民主党が政権を奪還して初の参議院議員選挙が平成25年7月21日に行われた。選挙結果は非改選議員と合わせ与党が過半数を確保し、ねじれ現象は解消されることとなった。国内を取り巻く経済社会情勢はアベノミクスによる円安効果で輸出企業が増収増益を果たし、株価の上昇、投資環境の改善、消費マインドが改善されるなど一部経済効果が見られるものの本格的な景気回復、デフレ解消にはいたっていない。また、東北復興支援、地震災害への社会インフラ整備等進んでいないなか、消費税引上げによる消費の落ち込みなどによる経済活動も予断を許さない状況である。

 わが国は現在、ユビキタスネットワーク社会へ向け、情報通信技術(ICT)の利活用は、少子高齢化、社会インフラの老朽化、地球温暖化等の諸課題解決に向け、国民生活の重要なライフラインとして、新たなまちづくりや被災地域の復旧・復興に欠くことのできない大きな存在になっている。

 インターネット、電子メールの普及によって、ITへの依存度が高まる中、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」安心、安全に利用して快適に暮らせるユビキタスネット社会の実現を目指し、情報通信技術の進歩は、日本経済の発展を支える原動力の一つになっている。地域の情報拠点としての郵便局の機能、役割は今後ますます高まり、そのためには、郵便局の高度情報化が必要である。

 平成24年4月27日に改正郵政民営化法が成立し、郵便事業会社と郵便局会社を統合し、分社化の弊害を取り除き、経営効率を図り日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社に、郵便局窓口を通じて、郵便のみならず金融の基本的なサービスもユニバーサルサービスを課すことができたことは一定の前進である。しかし、日本郵政株式会社の責務として位置づけられてしまったため、ユニバーサルサービスを維持するコストをどう賄うのか、具体的には決められていない。日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社の経営努力で賄うという考え方である。過疎地域において金融サービスや第三種、第四種政策的郵便物が提供されなくなる恐れがでてきたときに、郵政民営化法では社会・地域貢献基金というものが設けられていたが、改正郵政民営化法では廃止させられた。郵便貯金、かんぽ生命には引き続き限度額規制が課せられ、新規業務も郵政民営化法と銀行法及び保険業法とで二重の上乗せ規制が存在している。

 株式の処分については、政府保有の日本郵政株式会社について、政府は日本郵政株式会社の株式を三分の一超常時保有するものとし、残余の株式をできるかぎり早期に処分するものとして、その売却益は東日本大震災復興財源に充てることが決められている。株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命の株式の処分については、処分する年数こそ明記されなくなったが、全株処分も容認され、処分後の売却益等の在り方も議論されなければならない大きな課題である。

 改正郵政民営化法で明記された、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により、郵便局で一体的かつあまねく全国において公平に利用できることが将来にわたり果たして可能なのか。

 日本郵政グループ中期経営計画~新郵政ネットワーク創造プラン2016~は、郵便局ネットワークと金融2社が有機的に結合することで新たな郵政グループの形を作り上げ、「三事業の収益力と経営基盤の強化」「ユニバーサルサービスの責務を遂行」「上場を見据えグループ企業価値の向上」という3つの柱を策定し、顧客、地域・社会に貢献するネットワークづくりを目指すとされた。

 当法人としては、厳しい経営環境の下、制度設計のさらなる見直しの必要性、郵便局サービスの新たな利活用方法などさまざまな角度から検証しつつ、公共性や地域性が求められ地域貢献施策を担うことになる郵便局が、地域社会に対して国民の期待に応えられ、さらに三事業を中心とした新しいビジネスモデルを早急に構築できるよう率先して提案をしていきたい。 

 今後少子高齢化、過疎化が進む中、都市部と地方部との格差是正を図るためにも、地域社会における有人窓口の特性を持つ郵便局の役割はますます増大していく。

 前期に引き続き日本郵政グループの持つ潜在的な力、企業価値向上、郵便局ネットワークのあり方、郵政事業が発展するための新たな役割を調査、研究を行いその成果を会員及び関係機関に開陳していきたい。

 

《今期の事業計画》


Ⅰ 機関誌 逓信『耀』の発行と編集方針について
○ 総務省の施策を中心として郵政事業・電気通信・放送分野等の今後の課題について。
○ 郵政民営化の現状と問題点、郵政改革全般について国会の先生方及び有識者等の意見を掲載。
○ 日本郵政株式会社(各事業会社)の経営戦略について。
○ 郵便局における新しいビジネスモデルの提案について。
○ 郵便局長の取材を通して郵便局の役割、地域密着型郵便局のあり方について。
○ 世界の郵政改革の現状と課題について。
○ 身近な防災講座について。
○ 連載企画関係 *「シリーズ政策を問う!」*「霞が関からのレポート」  *「民営化という虚妄を超えて」*「郵政事業の課題と展望」*「郵便局における地域貢献活動の重要性」*「地方自治と郵政事業」*「逆境に打ち克つ組織づくり」等掲載。
○ 増刊号の発行について〔予定〕


Ⅱ セミナー・研修会の開催
 会員各位の多様な要望に応えるべく、郵政事業のみならず、電気通信、放送分野等についても当面の諸問題について勉強する。


Ⅲ 調査・研究会の開催
・郵政改革検証委員会の開催
 改正郵政民営化法の施行により、利用者にとって利用しやすい郵便局になっているのか、郵政サービスの現状と課題について検証を行う。
・新郵政事業ビジネスモデル調査研究委員会の開催
 短期・中期的視点において、諸外国の郵政改革も参考にしながら、郵政事業の在り方を検証し、郵政グループ各社の成長戦略を考究する。
・未来の郵便局を考える研究会の開催
 長期的な視点で地域社会における郵便局の機能、役割、在り方等を検証する。


Ⅳ メール情報サービスおよびホームページの充実
・会員向けメール情報サービスのさらなる充実。さらに利用者の増大を図る。
・当法人のホームページのさらなる充実を図る。

V 公益目的事業
 公1:「海外における情報通信及び郵政事業の変遷とわが国における情報通信及び郵政事業のあり方について」の調査研究事業
 公2:ユニバーサルサービスに係る新ビジネスモデルの調査研究事業

 特定寄付: 公益財団法人 伝統文化活性化国民協会

 本事業は公益性の観点から郵政事業の戦略的成長を調査研究し、その成果をホームページ等において、広く一般に還元する事業であり「地域社会の健全な発展」を目的とする事業である。


VI 相談窓口について
 各種セミナー、講演会等の講師派遣、会員等のさまざまな要望、照会に対応するための「相談窓口」の対応の充実。


VII その他
・国会情報等の各種資料集の作成。
・郵政事業に係る関係資料の作成

 以上のように各種事業を通じて当法人の役割は、今後ますます増大し、そのためには正会員、賛助会員の拡大、増強を図り、活発な事業活動を展開していきたい。このような活動から発生する会費収入をはじめとする諸収入を源泉として、さらに有意義な研究活動を続けていき、社会に対する貢献度の高い法人を目指し、会員の皆様方のさらなるご協力を宜しくお願い申し上げます。