通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2018年3月号  保井美樹・法政大学現代福祉学部教授

官民連携の「地域マネジメント」再注目
郵便局にカフェ?地域運営のハブ機能への期待


 地域が自立して財源を確保し、事業を進めていく、これまでと違うモデルを考えていかなければいけないと思います。それは、「地域マネジメント」だと思います。地方創生のなかでも、そうしたマネジメント体制を検討している自治体はあります。たとえば、島根県雲南市をはじめとする小規模多機能自治体を進める自治体は、地域組織が、廃校を拠点に住民に必要な事業を行っており、新しい地域マネジメントの形が見られつつあります。そういう仕組みをきっちり育てて、どういった組織がどういう財源を基に運営するのかの再構築がなされないと、単年度でKPI(重要業績評価指標)を掲げて、それでやっていこうとすると、どうしてもイベント型になり、わかりやすいハード事業にせざるを得なくなるので本末転倒というか、事業をやったものの、後に続かないことが起きてしまうように思います。
 人口減少が激しい地域で生活を成り立たせるためには、必要なサービスを提供できる事業組織が必要になります。その一つのモデルが、ハブ的組織が中心になった多機能事業のプラットフォームではないかと思っています。そうしたプラットフォームを全国津々浦々どこに行っても存在する郵便局に置くことはできないでしょうか?郵便局という空間が地域の様々な活動者の拠点になり、そこにコーディネーターがいるということです。多くの地域で郵便局長さんは、地域の名士であり、多くの組織や個人と連携されています。そんな郵便局にカフェがあり、地域の人たちが集って新しいことが起きる場所になってもいいのではないでしょうか。地域の新たな連携の枠組みを作って、その地域の核となるのが、次の時代の郵便局になればと期待しています。