通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2019年9月号 竹内健蔵 東京女子大学現代教養学部教授

他では真似できない独自の地域活性化策を
郵便局のサービスは信頼が最大の強み


 少子高齢化、人口減少社会は枕詞のようにどこでも使われる言葉で、町おこし、村おこし、地域活性化を論じる時には必ず出てくる言葉です。多少悲観的になってしまいますが、人口が減少しつつあるわけですから、全ての町や村が地域活性化で成功することは理論的にあり得ません。どこかは必ず成功しないことになるわけです。この点をしっかりと認識しておくことが必要で、地域間競争のなかでいかに生き残っていくかが重要だと思うのです。よく言われることですが、他の地域には真似のできないようなものを持たなければならないということ、自分のところしかないものを見つけ出すということが大事です。私が専門とする経済学の分野では“製品差別化”という言い方をしますけれども、自分の地域しかないものをどうやって見つけて、それを訴求して、お客さんに受け入れてもらうかが一番大事なことだと思うのです。

(郵便局の利活用について)
 郵便局がそこに在りさえすれば地域が潤う、活性化できるものではないということです。ただ存在するだけでは、地域活性化に何の影響も及ぼさないこともあるのです。目的と手段を取り違えてはいけないのです。郵便局が存在するのは地域活性化や地域おこしのために在るわけではなくて、地域の人たちへのサービスの提供のために在るわけです。あくまで、地域の皆さんに郵便局を使っていただいて、それに付随して地域が自然と賑やかになっていくことがあるべき姿なのであって、賑やかにしなければいけないから郵便局が存在するというのは逆に話です。地域間での競争ということになると、郵便局どうしの競争もあるわけですから、その時に、自分の地域の郵便局は他の地域の郵便局と何が違うのか、基本的な業務は同じとしても、プラスアルファの魅力を作り出すことで、他の地域の人々でさえそこに来たくなるような魅力のある郵便局をつくることが大切だと思うのです。