通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2020年4月号 関いずみ 東海大学海洋学部海洋文明学科教授

漁業法「改正」による漁村コミュティの解体に危機感
郵便局は地域の情報拠点としても重要


 いつも思うことは、東京一極集中になるようにしか、政策が動いていないのではないかということです。漁業で言えば、小規模な沿岸漁業は非常に重要だと思っています。漁業の中でも今、水産業の成長産業化などが言われています。それで、「漁業法」なども改正されて、大規模集約化とか企業化によって、成長産業化が叶うような“絵柄”になっているような気がしてならないのです。沿岸の資源をどう維持管理していくかとか、そういうことを考えた時に、今ある沿岸漁業はそのほとんどが家族経営の小規模な漁業です。こういうのが全国の浜にびっしり張り付いているわけです。そのことの重要性だと思うのです。でも、そうした小さな漁業が普通に暮らしていけなかったら、やはり、親は子供に漁業を継がせたいと心の中では思っていても、言葉には出来ないでしょう。今ある、小さな沿岸漁業の人たちが、どうしたらそれを維持できるか。漁業の収入で普通の暮らしが出来るのであれば、外に一回出ても、戻ってきたい人はたくさんいると思うのです。もちろん、職業選択の自由がありますから、みんなが戻るべきなどというつもりはありません。でも、潜在的に漁業に就きたい人たちが、他の職業と同じように漁業を選べるようになったらいいのに、と思います。