通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2021年7月号 櫻井常矢 高崎経済大学地域政策学部教授

地域に寄り添う人材をいかに確保できるか
郵便局が地域運営組織に加わり情報共有を


 これからの人口減少時代やコミュニティにとって大事なことは、事業活動の前にまずはひとです。地域の人材を活かすこと、そして地域に寄り添うひとも必要なのです。人件費は用意できたものの、公募してもなかなか人材が集まらない。寄り添うひとをいかに確保していくか。それにはひとに来てもらえるような魅力のある地域にならなければいけないし、行政としても人材を育成する機能を整えなくてはなりません。行政職員がたくさんいて、行政職員がすべてやってしまえば一番簡単なのですが、職員数が減ってきているわけですから、コミュニティの末端まで入り込めません。そうではなく、地域の人材や寄り添うひとを育てる、そうしたことへと行政の役割が変わっていくということなのだと思います。

 郵便局に期待することは、地域運営組織への参画です。自治会の加入率は今後下がっていきます。若い世帯ではなく、今まで加入をしていたベテランの世帯が退会していく。これには二つ理由があります。一つは役職が回ってきた時に、自分は役を担えないから退会させてほしいというケース。もう一つは、自治会費を払えないというケースです。そのようなことから、自治会では解決できないことが増えるので、それを補うために地域運営組織を立ち上げましょうということになる。補完性の原理です。この地域運営組織の枠組みの中に、郵便局に加わっていただき、各種団体との横のつながり、情報を共有してもらうことがあってよいと思います。地域運営組織に地元の企業や事業者が入っているケースはありますので、地域に根を張る郵便局にも参加していただけると、とても有効だと思います。