通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2014年10月号 対談 世界の経済社会情勢と郵便局の在り方を語る(下) 
              ~郵便局は社会のインフラであり日本の文化~

評論家 森田 実先生  衆議院議員 城内 実先生


城内先生 地域のコミュニティを支えてきたのは、その地域の学校であり、警察であり、郵便局であったのです。中でも郵便局は明治四年の創業以来、公益性、公共性を発揮し、地域に密着した活動を展開してきました。しかもその生い立ちは、地域の有力者が私財を投げ打って局をつくり、広範な郵便局ネットワークをつくってきたのです。地域の郵便局長は地域の人たちから信頼され、大切な仕事を務め上げてきたのです。私は日本の国民皆保険制度と郵便局ネットワークは世界一だと思っています。どうしてこれを改悪しようとするのだろうか。

  小泉・竹中改革では、よく「官から民へ」とカイカクと称してもっともらしいことを言っていた。民にできることは民でやるべきだと言っていましたが、官でなければできない仕事もあるのです。たとえば、公園をある時民営化して「民園」になったらどうだろう。今はタダで利用できるが、民間会社のものになったら当然入場料を取られる。公益性、公共性を兼ね備えた郵便局ネットワークはまさに社会インフラ、社会資本そのものです。これが解体されるようなことがあってはならない。むしろ郵便局を積極的に利活用していこうというのが「郵活連」という議連なのです。

森田先生 私が、郵便局が大事だと思うのは、郵便局が我々を教育してくれたからです。手紙やはがきを書くことは、教育面での効果は非常に大きい。それに、郵便配達の人は、山の中でも家がある限り、人が住んでいる限り郵便物を届けてくれる。郵便局員にはやさしさがある。
 優れた日本の郵便局の伝統を後世に引き継いでいく意義はきわめて大きいと思います。戦前我々は子どもの頃、皆郵便局が好きで郵便局に行って勉強しました。手紙を書くことで字を覚え、文章を覚えた。いろいろな人の手紙を読むことで知能を鍛えたわけで、そういう時代は維持したい。今やスマートフォンや電子メールでの交換ばかりだが、もう一度手紙文化を伸ばしていきたいと思っています。