通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2017年4月号 東京大学名誉教授・月尾嘉男先生に聞く

地方創生と郵便局の今後の在り方・役割等について(下)
地域の“コンシェルジュ”として
郵便局の強みを生かす取り組みを


 最近、行政の窓口業務などを集約した施設を駅前など住民に便利な場所に設置する自治体が増えています。そうした施設に郵便局も移動して“コンシェルジュ”の役割をすることも検討されたらいいと思います。当然、自治体の業務と重複する部分も出てきますが、これは調整可能だと思います。
 過疎地域などでは高齢者が診療所に集まって来られる事例が増えており、元気な高齢者も仲間に会うために来られるので診療所が混雑しているようです。そのような高齢者が集まる場所を郵便局と自治体が協力して用意される方法も検討されたらいいと思います。自治体と連携して郵便局に来てもらうとか、行く場所、集まる場所がない方々に場所を提供して、地域の情報の交換や生活の拠点になっていくことも新しい戦略になるかもしれません。
 郵便局の弱点はコンビニエンスストアと違って24時間営業していないことです。最近は店内にATMを置いているコンビニエンスストアも登場して、郵便局の仕事と一部が競合する事態も発生しています。しかし郵便局が一年中24時間営業することは不可能ですから、コンビニエンスストアが出来ないことを発見することが重要で、そのために自治体だけではなく民間企業と連携することも重要になると思います。