通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2017年6月号 政治評論家 森田実先生に聞く

世界の経済社会情勢と我が国を取り巻く政治情勢(上)
朝鮮半島緊張緩和、平和外交の真価問う


 2017年は前年の2016年以上に大変革の年になると思います。トランプ大統領の登場によって、アメリカがかつてないほど予想できない存在になりました。世界最大の軍事国家であり、経済国家であり、世界一の巨大国家が予想できない動きを示すようになってしまいました。このことが、全世界に不安を掻き立てました。その不安が全世界の政治状況も経済状況も、社会状況も非常に混乱させているのが第一の特徴です。
 それから、北朝鮮が中国やロシアの影響から少しずつ解き放たれて、自由行動を取りつつあります。このため、どこでどう動くかがわかりません。しかも、本人たちはアメリカに対して、我々と対話をしてほしい、米朝関係を平和的なものにしてほしいとメッセージを送っているつもりなのでしょうが、アメリカ側はこれを挑発と受け止めている。ついに、アメリカは堪忍袋の緒が切れそうな状況になっていて一触即発、極めて危ない状況といえます。
 日本政府が平和のために働くべきです。私は日本が今、大きな役割を果たすことができる状況にあると思っています。まず、政権が安定しています。現在の安倍政権は国政選挙において衆議院選挙二度、参議院選挙二度の計四回も勝ち続けていて、さらに、現在の政権はすぐにも倒れるとか、選挙でもって政権が転覆するとかの危険性は非常に薄い状況ですから、こういう時期こそ、日本政府は国際社会の一員としての役割を果たすべきだと思います。今は平和の危機ですから、日本は平和のための活動を強めるべきだと思います。