通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2020年1月号 柘植芳文参議院議員に聞く

新しい時代の郵政事業へ 現場から大きなうねりを


――ゆうちょ銀行・かんぽ生命と日本郵便との間の受委託関係による問題点の本質は、民営・分社化によるものです。

 委託、代理の関係で言うと、ゆうちょ銀行・かんぽ生命と日本郵便との受委託関係をベースにした「製販分離」のビジネスモデルが本当によいのかどうか、民営・分社化の際にもかなり議論しました。当時、製販分離ではとてもじゃないけれど経営は難しいと主張しました。にもかかわらず、金融2社を完全に売却していくという想定で作られた旧郵政民営化法の下で製販分離されてしまいました。製販分離による弊害は様々な面で生じています。製販分離による問題点がもう少しオープンにされ、製販分離の度合いを薄めながら、「製」の部分について日本郵便のほうに少しずつ移したらどうかと思っています。

――日本郵便は本来、自前の金融商品を持たなければおかしいのです。日本郵便としてビジネスが成り立つような仕組み、あるいはグループ会社の事業形態の見直しが必要だと思います。

 いまの郵政民営化法等改正法はグループ会社としての色彩をものすごく前面に出した法体系だと思います。だとしたら、旧民営化法のわるい部分を引きずらずに、改正法の中の事業形態の部分についてもう一度考えていく、経営の範疇で考えられることであれば大いに検討すべきだと思います。

――当面の政治課題として郵便法改正とともに、自治体の窓口業務の委託にかかわる法改正の問題があると思います。役場支所の窓口業務すべてを郵便局で請け負うことは、公権力行使の問題等があって、自治体職員を常駐させなくてはいけないようですが、これに関してはどうお考えでしょうか。

 長野県泰阜村の支所業務を郵便局で包括受託するという動きが出てから、非常に関心を持って、総務省の自治部局とも話をしました。人口減少が進み、地方自治が厳しい財政状況になっているから、やむを得ず支所業務を郵便局に委託したいという時に、公権力を有するものしか証明ができない等いつまで古いことを言っているのだと申し上げました。ICT(情報通信技術)がこれだけ進んでいる時代ですから、個人の証明書類を取得するのに、いろいろな方法があると思うのです。地方自治体と郵便局とのコラボレーションをもう少し容易にできるようにする。これは早急に取り組んでいきます。