通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2021年1月号 元総務大臣 石田真敏衆議院議員に聞く

Society5.0を支える革新的技術を活かし、 社会の変化に対応した郵便局ネットワークで地域を守る


――社会の変革・イノベーションが求められている現在、このSociety5.0によって日本社会がどのように変わる可能性があるのか、併せてその政策内容について。

 Society5.0について誤解がいろいろあるのですけれど、Society5.0というのは、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、新たな社会のことを指しています。次の社会はまだ分からないので“第5の社会”と言っているわけです。いずれ何々の社会と呼ばれると思いますが、いま言われているのが、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会になるという位置づけです。その中で基幹になる革新的な技術やインフラを使って様々な分野における課題や困難を克服し、実現する社会の姿がSociety5.0です。その基盤となるものがデジタル化、5G(第五世代移動通信システム)。さらに気象衛星やレーダー衛星、光学衛星などです。そして、IoTというセンサーで集めた情報や、衛星によるデータなどを分析するAI、さらにAIを組み込んだロボットが出現しています。医療分野で言うと、IPS細胞とかゲノム、またAIによる画像診断や5Gを使った遠隔医療、さらにロボティックスなどで医療や介護の分野が大きく変革していきます。その結果、出来上がる社会がSociety5.0なのです。ものすごく大きく社会が変わると思いますよ。

――少子高齢化、過疎化が進む時代にあって「郵便局の新たな利活用」について。

 Society5.0を支える革新的な技術で、ネット環境さえあればどんな所からでも世界とやり取りができるわけです。東京に居ないと仕事ができないということはなくなってきました。物流にしてもドローンによる配達実験が始まっています。いろいろ新しいことに対してアンテナを高くし、どうやってこの地域課題に取り込んでいったらよいのかということを絶えず考えていくことが大事だと思っています。
 2万4千の郵便局ネットワークはものすごく大事で、東京都内ではあまり感じないかも知れませんが、地方に行けば行くほどその必要性・重要性を皆が認識しているわけです。地方では人口がどんどん減少し、農協や金融機関の撤退も進んでいます。地域の課題として、いま郵便局が携わっておられる以外のこともいろいろ出てくると思うんです。もちろん自治体との協力も大事です。地域を守る拠点という考え方でいけば、いろいろなことが出来得る可能性があります。それと、ただ守るだけではなくて、地域の特色を見つけ出すというような新しい発想が重要です。