通信研究会

機関誌 逓信「耀」 シリーズ 「政策を問う」

2008年11月号 第1回 衆議院議院  古川禎久先生に聞く!

郵政民営・分社化の結果を検証せよ 国民のためになったのか


 民営化の3つの目的(「お客さまサービスの向上」「経営の向上」「職場環境の向上」)、どれひとつとして達成されないどころか、目的と真逆の方向に事態は進行している。民営・分社化後1年が過ぎた今、国民にとってどこが良くなり、どこが悪くなったのか、冷静な検証が是非とも必要だ。国民合意を形成しつつ、収斂された処方箋を政治が責任をもって実行しなければならない。
経営形態については、三事業一体経営を可能ならしめる特殊会社、これが正解だ。各会社それぞれの採算、不採算を問題とせずグループ全体の経済性で見ていく、という形が望ましい。

 具体的には、貯金と保険の金融サービスについても郵便と同じように、ユニバーサルサービスを義務化すること。また、金融2社と持株会社の資本関係の強化、郵便事業会社と局会社の一本化などがポイントとなろう。いずれにしても、3事業の連携を強化して一体的なグループ経営を確保することだ。それなくして政府は、附帯決議における「ネットワーク維持」「サービス水準維持」「健全経営確保」などの約束を果たすことはできない。

  構造改革路線の根底にあるのは競争こそが正義という考え方。日本は“お蔭様”“お互い様”という助け合いの精神の国であって、弱肉強食の競争社会とは本質的には相容れない。「木に竹を接ぐような」失敗を犯した自民党は、今こそ自浄能力を発揮して政策転換を確実なものにし、構造改革でズタズタにされた国民社会のキズの修復に全力をあげるべきだ。