通信研究会

機関誌 逓信「耀」 シリーズ 「政策を問う」

2010年11月号 第18回 衆議院議員 松野頼久先生に聞く!

三事業一体で官と民の良さを発揮する株式会社へ


 郵政民営化によって明らかに事業は後退している。郵貯、簡保の資金は減少し、そして不動産を含めた資産の売却が行われた。利用者の利便性も下がり、各種手数料が値上がりするなど、不便さが顕著に表れている。

  郵政改革法案の一番のポイントは、郵政事業を単なる営利目的にするのではなく、国民共有の財産、行政サービスと位置付けたこと。全国津々浦々あまねく公平に郵便局ネットワークを維持させ、郵政事業のもつ公益性と地域性を重視した改革だ。また、公共サービスをいかに国民に提供していくかを視点につくった法案である。

  つまり、郵便、簡易な貯蓄・送金、簡易に利用できる生命保険を利用者本位の簡便な方法で郵便局で一体的に利用できるようにするということだ。

 ただ単に営利だけを目的にすれば、物凄く利益の出る会社と赤字になって立ち行かなくなる会社と出てきてしまう。それを三事業一体的な株式会社の形態に置き直し、持株会社の日本郵政と郵便局会社と郵便事業会社を統合して一つの会社(親会社)にして、国が三分の一超の株式を持ち、また親会社はゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式を三分の一超持つ。一般の民間会社と同じように郵貯、簡保の運用益をネットワーク維持のために株の配当として入れていこうというのが今回の制度設計の根本である。

 取扱量の低い過疎地も含めて配達網を維持すると当然採算性は悪くなるが、そこは国民への公共サービスとして位置付けることで、運用益によって配達網を維持する。税金を投入しなくてもネットワークを維持できるような制度設計になっている。