通信研究会

機関誌 逓信「耀」 シリーズ 「政策を問う」

2010年12月号 第19回 前内閣府副大臣 参議院議員 大塚耕平先生に聞く!

郵政改革法案について・・・
理念・経営形態・出資比率・ユニバーサルサービス・米国の交渉等


 郵政事業が始まって約百四十年を経ています。最初は純粋な官業として始まりましたが、徐々に国も発展し、郵便に類する民業、郵貯や簡保に類する民間金融業も誕生しました。さらに、郵政の事業体そのものも、純粋な官業から郵政事業庁、郵政公社へと変化を遂げてきました。そうした流れの延長線上にあることから、官業と民業の適切な融合ということは避けて通れないでしょう。おそらく次の時代の郵政の事業体は、民間企業でありつつ、公的な使命を果たす存在として、国民の皆さんや国民経済に寄与していくという姿ではないかと思います。最終的に到達したゴールが「公益性の高い民間企業」というコンセプトでした。

 郵貯、簡保という金融部門は、郵政事業の中でも後からできたものです。初めに郵便ありきです。郵便が基本となる事業ですから、郵便事業に関する意思決定主体であるホールディングカンパニーや郵便事業のインフラを提供する郵便局会社、そして郵便事業のソフト部分を担う郵便事業会社がバラバラというのはいかにも不自然です。したがって、それらをひとつにまとめて親会社にすることを考えました。

 金融部門が補完的に誕生して今日に至っているという経緯を考えると、金融部門は親会社の下にあるのが自然なかたちです。

 また、金融事業は純粋な民間金融機関との競合性が高いのに対し、郵便事業は万国郵便条約に基づいた国の責務であり、国民の皆さんの基本的権利を保障するものですから、やはり、金融と郵便を全部同じ組織の中に取り込むことは必ずしも合理的とは言えません。そこで、持株会社、郵便事業会社、郵便局会社を一体とした親会社の下に、金融二社をぶら下げる経営形態を選択しました。